じっくりお話を伺うのが私のサービスの肝とはいえ、いつまでもいつまでもイラストが完成しないことがあります。
たとえば…
- ボンヤリと人のかたちにはなるが、いつまでも「全身タイツ」のようにしか描けない。
- 描けども描けどもクライアントの納得が得られない。
- 次々に要求が出てきて、完成のめどが立たない。
私が起業を恐れたのも
(今までもそうなら、これからも私は一生器用貧乏なのではないか?)
起業を決意したのも
(でも来る人来る人皆が私に際限なく要求してしまうのには、何か事業のチャンスが眠っているのではないか?)
ひとえにこの点に尽きます。

自分のことを、まるで宮廷絵師だと思ったものです。
(その時代に生きていませんが)
(でも何となく分かります?王侯貴族のお抱えとなり、肖像画とか描いているような画家)
王侯貴族ならば、完成するまでの衣食住の面倒は見てくれたでしょう、でもクライアントが支払いに応じるのは納品後なのです。
いいものを創りたい
それだけでは、私は「いいもの」の奴隷になって終いには疲弊してしまい、これから先も続けていけません。
だから
どこに向けてのイラストなのか?
をとことん追究しないと、継続して描いていけないのだと、今なら分かるのです。
では、どうすることでこの事態を打開したのか。
それは打合せの途中で、うーんこれは…と思ったとき、私はひそかにクライアントの話す内容を【事業サマリー】にあてはめて、引き受けるか否かを決めるようにしたのです。
(私が使っている事業サマリーのひな形はこちらのBタイプです)
すなわち、
【顧客のメリット】がちゃんと「ある」なら引き受けよう、逆に【課題克服方法】しかないのならお断りしようと。
未熟者の認識で恐縮ですが…私の中では
よく似ているのですが、相手がどちらを話しているかをチェックするには、それで目の前の現実が変わっているか?で見ます。
「世の中のためになることをしたい、社会に貢献したい」
「困っている人を助けたい」
耳に心地よくても、何も変わっていません。
むしろ綺麗な言葉だからこそ、ベクトルが顧客に向いていないのを気付きにくくしていると思うのです。
「かがんでゴミを拾います」⇒「目の前がキレイになります」
どんなにささやかなことでも、ここには顧客のメリットがある。
私は、「ある」を支持します。
そう、支持なんです。
【顧客のメリット】を考えに考えて、決めるのはあなたなんです。
そこを分かりやすく視覚化してくれるからと、クリエイティブの領域に求めてしまうのは、時期尚早ではないでしょうか…殿下。